ノラ達の最期の言葉

2006年から沖縄で野良猫のTNR活動を行っております。

恐れを知らないガキだった頃

二十代前半、私は仙台に居た。

仙台には十二年ほど暮らしていたが、結婚する前は普通の遊び人の女の子だった。

男友達と、よく心霊スポットへと出掛けていた。

とにかく怖いものが大好きで、仲間と「ホラービデオ鑑賞会」なる集まりを行っていたくらいだっ

た。

今考えれば、恐ろしい。。。。

そんな中、強烈な体験が二つあった。

一つは、当時付き合っていた彼氏と、宮城県でもちょっと有名な「縁切り橋」という赤い橋のある観光

名所に、夜にドライブに出掛けた。何度か行ったことのある場所なので、友人の話から幽霊が出る場所が

あるよー、という情報で、幽霊好きの私は渋る彼氏を無理に連れ出した。

小さな船着場のある細道を二人で歩いていた。私はワクワクしていたが、彼はガチガチだった。その姿が

妙におかしくて、私は彼をからかいながら歩いていた。

その時、何か頭の上が蒼白く光っているのに気づいた。

ふと、上を見上げると、ちょうど防空壕のように岩に穴が三つほど開いていた。

彼は真っ青な顔をして私の腕を強引に引っ張った。

すごいものを見てしまった。

蒼白く光る真ん中の穴の中に、甲冑を見につけたザンバラ頭の人間らしきものが、座っていた。。。

私は眼をそらせずにいた。というより、足が動かなくなっていたと言った方が正ししいだろう・・

その甲冑を着た人間らしき物体の背中には、無数の矢が刺さっていた。

「うわぁぁぁーーー!!!」

彼の悲鳴で私は我に返った。彼はもの凄い力で私を引っ張り走り出した。

私は何がなんだか分からずに彼の手を握り必死に走った。

その時、後ろから

「ガシャ!ガシャッ!」

と、明らかに鎧のこすれるような音がしていた。音は、ずっと私たちの後をつけ走って来た。

『殺されるかも!!』

心の中で私は感じた。

とにかくヤバイ状況なので振り切るしかないと思い、ひたすら走った。すると、公園が見えてきた。公園

にはいくつかの外灯が付いていた。あそこまで行けばもうすぐ駐車場だ!!

安堵感が沸いた時に、また恐怖が二人を襲った。

外灯の全てが、イキナリ点滅をし始めた。

「ぎゃーーーー!!!」

二人の叫びは何処まで響いたのか。。。

もう完全にパニくっていた。

とにかく彼の手を放さずに車まで走ることだけしか頭に無かった。。。


放心状態。まるで落ち武者のようなモノ・・・・信じられないけど、事実・・・・

ようやく車まで辿り着くころには、甲冑を引きずる音も消えていた。。。。

とにかく恐ろしかった。。。

その後は何事もなく、無事に家まで辿り着けたが、あんな恐ろしい体験はしたくないので、あの場所へは

二度と行かなかった。。。

しかし、私は性懲りもなくまた別の心霊スポットへと出掛けてしまう。。。

この話はまた後日・・・・・