ノラ達の最期の言葉

2006年から沖縄で野良猫のTNR活動を行っております。

☆!☆

 仕事を追えアパートへ帰ると、階段の踊り場に血痕があった。

 私はビックリしてすぐ部屋を開け、掃除用具を持ち、血の跡の処理をした。

 脳裏にはノラの誰かが喧嘩したのだと、すぐ浮ぶ。誰だろう・・・手術をすれば、さほど

 闘争本能は削がれるはずなのに・・・・・。

 一匹のノラを思い出した。先週から突然現れた生後五ヶ月ほどのオスがいた。

 このノラは、私の作った砂場に用を足し、とても人馴れしているのですぐ飼い猫だったと

 分かった。このアパートの住人か、ごく近所の人間が捨てたように思えた。トイレの躾を

 されている以上、飼い猫に違いない。

 その子がご飯を食べにきていない・・・・。あの子が、あの流血の子だろう。

 多分、別のデカイ雄猫にやられたんだと思う・・・・。この付近の縄張りを張るとてもデカイ

 雄がいる。この雄は何度も捕獲に失敗し、子猫を増やしていたやっかいな子だ。

 今頃あの小さな子は何処にいるんだろう・・・・。散々捜し歩いたが見付からない。

 血痕は途中でぴったりと途絶えている。誰かに拾われたのか? もしそうであれば、心ある

 誰かが病院に連れて行ってくれていたら・・・・

 祈るしかない・・・。生まれてから室内飼いの子が外に出た時の危険を、主さんはどれだけ

 把握しているんだろうか? あの子は誰が見ても間違いなく「室内飼い」されていた猫だった。

 首輪は無かったから捨てられたとしか思えない・・・。私がご飯を上げているのを見ていた

 主だろうと思う。

 この活動をしていると、知られたらわざと捨てる人間もいる。仲間の方も、玄関に子猫を9匹

 捨てられた経験がある。

 「終生飼育」とは、その人のモラルが問われる。

 生き物は、ペットと言われているけど、その前に「家族」だということを分かって欲しい。

 決して玩具ではない。子猫だから可愛いって人も多いけど、じゃー大きくなったらいらないの?

 その結果が今回のような哀しい事にも繋がるのに・・・・・。

 今私が出来る事は、あの子の無事を祈ることだけ。

 どうか、神様、あの子がもし、今苦しみながら倒れているのなら、安らかに天使になれますよう

 お導きください・・・・・・。もしも今、温かい誰かに救われたのなら、その方に愛されます

 ように・・・・・!

 何も出来ずに居た私を赦してください・・・・・・・・